WORKS施工事例
今の住まいを省エネで快適な暮らしに。全館空調マッハシステムを採用したまるごと断熱リフォーム
伊予郡松前町 T様邸
リフォームで全館空調を検討された理由は何ですか?
1995年頃に建てた我が家は窓が多くて単板ガラスの面積も広く暑さ寒さ対策が一苦労でした。エアコンを3台設置していましたが、部屋が広いためその分電気代が掛かり、光熱費対策が必要だと日々感じていました。
建て替えも検討したものの引っ越しや解体費用、産業廃棄物の発生などが気がかりで・・・それに今の家は意匠性が良く、愛着もあるため、他に良い方法がないか探していると全館空調マッハシステムがリフォームでも導入できることを知り相談しました。
T様からご相談を受けてお住まいの家を現況検査(インスペクション)を行い、建物に大きな欠陥もなく空調室の設置、マッハダクト配管スペースの確保も可能なため、まるごと断熱改修工事と併せて全館空調マッハシステムも採用していただきました。
UA値計算データ
断熱改修工事前と工事後の断熱の数値計算により、改修工事をすることで熱の損失量が約1/4に減少することがデータで示されました。HEAT20のG2レベルまで改善されます。
全館空調は昼間に発電して躯体に蓄熱し夜間に躯体から放熱するためソーラー発電の有効利用が出来ます。
そこでドーマーを撤去して太陽光発電の設置もおすすめしました。
※ドーマーとは主に屋根裏や室内への採光・通気を目的として屋根から突き出した小さな三角や四角の屋根窓を指します。
今回の外張り断熱改修工事は経済産業省による「令和4年度 次世代省エネ建材の実証支援事業」
の採択を受けて2022年10月17日より実施しました。
改修工事前と工事後の変化~室内温度測定&外観
T様邸の断熱仕様は表の通りに変更されました。
効果実測定
外気温が3℃~5℃の1月の夜21時半に空調室のエアコンを停止して、無暖房状態で翌朝6時半で室内の温度が2.7℃しか下がっていません。しかも床に近い位置も高い位置も同じ温度変化を示しており、断熱性能の数値を施工後の実証でも証明できています。
改修工事 進捗状況
工事前の東面外壁
1995年頃の木造建築でも外壁に12㎜厚のサイディング張り施工の現場が増え始めましたが、通気層は無くグラスウール断熱材は入っていますが、現在のように断熱欠損まで考えられた施工ではありませんでした。
当時の傾向として採光窓を出来るだけ確保しているため、単板ガラスのサッシが4面に数多く取り付けされています。
外壁の撤去作業
既設外壁のサイディング、防湿・透水シートなどを撤去して土台・柱・桁に直接耐力面材EXボード施工が出来る状態にしています。
外壁の耐力面材張り
壁倍率2.7の耐力面材EXハイパーボードを外壁下地全面に張り、その上に外張り断熱材を施工していきます。
断熱材施工開始
断熱材は硬質ウレタンフォーム、厚60㎜を外壁面に専用ビスで断熱層全体に外張りしていきます。
断熱材施工
東面に並んでいた既設の窓は撤去して、採光を確保できる窓1カ所だけ高性能樹脂サッシに取替しました。北面の窓も同じように撤去して、必要最小限の高性能窓に取替えました。
外張り断熱完了
外壁面はすべて耐力面材と断熱材施工が完了し、耐震性能・断熱性能とも強化しています。
防水シートと通気層
断熱材を施工した上に防水・透湿シートで万一の漏水対策。さらに通気層をとることで壁体内に熱の滞留を逃がし、冷房効率のアップ、結露防止などの対策をしています。
外壁仕上げ材施工
外壁の仕上げは壁の厚みを考慮して軽量な金属サイディングをおすすめしました。
裏面には硬質発泡ウレタン断熱材と一体になっているため、断熱性・防音性にも優れています。
外壁材施工完了
改修工事前のベージュ系サイディングとカラー、デザインとも全く違うため、外観イメージがガラッと変わりました。
違和感なく重厚な感じに仕上がっています。
外壁・屋根の断熱施工
断熱材はリクシルのSWパネルを使用。
厚み60㎜の硬質ウレタンフォームで熱伝導率は0.024Wの高性能パネルです。
小屋裏断熱施工
既設の小屋裏部分を天井高1400にして収納スペースやダクトスペース、空調室に改修しています。
吹抜け斜め天井施工
斜め天井にあったドーマーを撤去して断熱材を施工。室内側の水蒸気で結露しない様に防湿シートで結露対策もしています。またドーマーに設置していたT様の思い入れがあるステンドグラスを壁面に移設しています。
基礎断熱施工
マッハシステムは床下にも空調された空気をダクトで送る全館空調のため、床下の基礎の内側で外気に面した部分に断熱材を施工しています。
基礎用XPS、b類3種、厚み100㎜を貼り付け、土台やジョイントの隙間は現場発泡ウレタン処理しています。べた基礎や防湿土間コンがないため、最後に防湿シートを土間床面に施工しました。
小屋裏天井断熱
小屋裏天井高1400の上部はプラスターボードの裏面に防湿フィルムを貼り、その上にグラスウールのブローイング工法で複雑な天井裏も隙間なく施工出来るので、断熱材の性能を確保して結露防止にも対応しています。
天井裏断熱施工
天井裏のブローイング工法の断熱材吹き込み厚みは300㎜で係数通りに施工しています。
給気・排気・熱交換器
フィルターBOXを通ったキレイな空気は、熱交換機で排気の熱・湿気を交換しながら空調室へ給気します。また室内の汚れた空気は、排気ダクトを通って熱交換しながら外部へ排出されます。
送風ダクト工事
T様邸では送風換気扇15台設置の空調室から床下、居室、洗面室、LDK、小屋裏の15ヶ所へ送風しています。
小屋裏空調室
空調室ではフィルターと熱交換器を通ったキレイな外気とリターンの空気が空調室へ入り、エアコン1台で温度調節した空気を断熱ダクトで送風しています。
送風換気扇
断熱シートに包まれた空調室内には15台の送風換気扇が並んでいます。換気扇は長寿命商品ですが、故障した場合にも市販の換気扇なので簡易に交換できます。
また断熱ダクトは室内の安定した環境に設置しているので、建築物と同じ寿命と考えられます。
空調室エアコン
1台だけのエアコンは家庭用エアコン18帖程度の機種です。夏と冬の厳しい気温の時には、入り切りするよりも常時稼働状態の方が消費電力が少ないケースがあります。
ダクトの吹き出し口
空調室からの快適温度の空気が常時供給されています。大風量小温度差ならではの同じ温度がどこにいても感じられます。また真下以外では風を感じることもほぼありません。風向き、風量の調節も出来ます。